Audio to CD Format WAV Converter
Version 1.0
概要
Audio to CD Format WAV Converterは、WAV、FLAC、ALAC形式の音声ファイルを音楽CD規格のWAVファイル(44.1kHz/16bit)に変換する専用ツールです。
高品質なリサンプリングとディザリング処理により、音質劣化を最小限に抑えた変換を実現します。
主な機能
- 多形式対応: WAV、FLAC、ALAC(M4A)ファイルに対応
- CD規格への変換: 任意のサンプリングレート・ビット深度を44.1kHz/16bit WAVに変換
- 高品質処理: librosa Kaiser方式による最高品質のリサンプリング
- スマートディザリング: 16bitを超えるビット深度のファイルにのみTPDF三角ディザリングを適用
- ID3v2.3タグ保持: 曲名、アーティスト、アルバム、作曲者、カバー画像などをID3v2.3形式で保持(RIFF INFOチャンクは削除)
- 並列処理: CPUコア数の半分を使用して複数ファイルを効率的に同時処理
- スマートスキップ: 既にCD規格のWAVファイルも処理してタグを統一
動作環境
- Windows 11(64bit)日本語版
- Windows 10(64bit)日本語版でも動作可能
- ALAC(M4A)ファイルの処理にはFFmpegが必要(pydubが内部で使用)
使い方
基本的な使用方法
- 変換したい音声ファイル(WAV/FLAC/ALAC)を用意します
audio_to_cd_format_wav.exeにファイルをドラッグ&ドロップします
- 処理が自動的に開始されます
- 変換完了後、元ファイルと同じ場所に
output_cd44フォルダが作成されます
- 変換されたファイルは
元のファイル名_cd.wavという名前で保存されます
フォルダごと処理する場合
- 音声ファイルが入っているフォルダを
audio_to_cd_format_wav.exeにドラッグ&ドロップします
- フォルダ直下のすべての対応ファイルが一括で処理されます
ヒント: 複数のファイルやフォルダを同時にドラッグ&ドロップすることも可能です。
注意: サブフォルダ内のファイルは処理されません。フォルダ直下のファイルのみが対象です。
対応形式
入力対応形式
| 形式 |
拡張子 |
対応ビット深度 |
備考 |
| WAV |
.wav |
16bit, 24bit, 32bit (int/float) |
PCM形式 |
| FLAC |
.flac |
16bit, 24bit, 32bit |
ロスレス圧縮 |
| ALAC |
.m4a |
16bit, 24bit, 32bit |
Apple Lossless(FFmpeg経由) |
出力形式
- 形式: WAV(PCM)
- サンプリングレート: 44.1kHz(44,100Hz)
- ビット深度: 16bit
- タグ形式: ID3v2.3のみ(RIFF INFOチャンクは含まない)
処理内容の詳細
変換仕様
| 項目 |
仕様 |
| 出力サンプリングレート |
44.1kHz(44,100Hz) |
| 出力ビット深度 |
16bit PCM |
| リサンプリング方式 |
librosa Kaiser(最高品質) |
| ディザリング方式 |
TPDF三角ディザリング(16bit超のファイルのみ適用) |
| 並列処理数 |
CPUコア数の半分(例: 8コア→4スレッド) |
| タグ形式 |
ID3v2.3(曲名、アーティスト、アルバム、作曲者、カバー画像など) |
処理の流れ
- ファイル読み込み: WAV/FLACはsoundfile、ALACはpydub経由で読み込み
- ビット深度判定: 16bit以下か16bit超かを判定
- リサンプリング: サンプリングレートが44.1kHz以外の場合、高品質リサンプリング
- ビット深度変換: 16bit超の場合のみディザリングを適用して16bitに変換
- ファイル保存: RIFF INFOチャンクを含まないクリーンなWAVファイルとして保存
- ID3v2.3タグコピー: 元ファイルのタグ情報をID3v2.3形式で書き込み
ディザリングの適用ルール
- 適用される: 24bit、32bitなど、16bitを超えるビット深度のファイル
- 適用されない: 16bit以下のファイル(不要な処理を回避し、音質を保持)
出力ファイルについて
出力先
変換されたファイルは、元のファイルがあるフォルダ内に自動作成されるoutput_cd44フォルダに保存されます。
ファイル名
出力ファイル名は「元のファイル名_cd.wav」となります。
例: mysong.flac → mysong_cd.wav
注意: 元のファイルは上書きされません。変換後も元のファイルは残ります。
同名ファイルの扱い
拡張子が異なる同名ファイル(例: song.wav, song.flac, song.m4a)を同時に処理すると、
すべてsong_cd.wavという同じファイル名になるため、最後に処理されたファイルで上書きされます。
処理結果の見方
処理中、コマンドウィンドウに以下のような情報が表示されます:
[CONVERT]: ファイルを変換しました(元のサンプリングレート/形式も表示)
[SKIP]: 既にCD規格のWAVですが、タグをID3v2.3に統一しました
[ERROR]: エラーが発生しました
処理完了後、以下の統計情報が表示されます:
- CPUコア数
- 並列スレッド数
- 変換されたファイル数
- スキップされたファイル数(既にCD規格だったもの)
- エラーが発生したファイル数
- 出力先フォルダのパス
よくある質問
Q1: どのような音声ファイルに対応していますか?
A: WAV(PCM形式)、FLAC、ALAC(M4A)に対応しています。サンプリングレートやビット深度は問いません。
例: 48kHz/24bit、96kHz/32bit、192kHz/24bitなど。
Q2: 既に44.1kHz/16bitのWAVファイルはどうなりますか?
A: サンプリングレートとビット深度の変換はスキップされますが、以下の処理が行われます:
- RIFF INFOチャンクを削除
- ID3v2.3タグのみを保持
output_cd44フォルダに元のファイル名_cd.wavとして保存
処理結果には「SKIP (already CD format)」と表示されます。
Q3: 音質は劣化しますか?
A: 高品質なリサンプリングアルゴリズム(librosa Kaiser)とディザリング処理により、音質劣化は最小限に抑えられます。
ただし、元のファイルよりもサンプリングレートやビット深度が低くなる場合、理論上の情報量は減少します。
Q4: ステレオ/モノラルファイルに対応していますか?
A: はい、両方に対応しています。マルチチャンネル(5.1chなど)のファイルも処理可能です。
Q5: 処理に時間はどれくらいかかりますか?
A: ファイルサイズや元のサンプリングレートによって異なります。
目安として、5分程度の楽曲(96kHz/24bit)であれば、数十秒程度で処理が完了します。
並列処理により、複数ファイルを同時に効率的に処理できます。
Q6: メタデータ(タグ情報)は保持されますか?
A: はい、以下のタグ情報がID3v2.3形式で保持されます:
- タイトル(曲名)
- アーティスト
- アルバム
- アルバムアーティスト
- 作曲者
- ジャンル
- 年(リリース日)
- トラック番号
- カバー画像(アルバムアート)
重要: RIFF INFOチャンクは削除され、ID3v2.3タグのみが保持されます。
これによりタグ形式が統一され、互換性が向上します。
Q7: FLACやALACのタグ情報も変換されますか?
A: はい、FLAC(Vorbis Comment)やALAC(MP4タグ)の標準的なタグ情報は、
自動的にID3v2.3形式に変換されて保持されます。
Q8: ALACファイルが処理できません
A: ALACファイルの処理にはFFmpegが必要です。pydubがFFmpegを使用して内部的に処理を行います。
FFmpegがインストールされていない、またはパスが通っていない場合はエラーが発生します。
Q9: 32bit FLACファイルの処理について
A: 一部の32bit FLACファイルはsoundfileで読み込めないため、librosaが自動的にフォールバックして処理します。
警告メッセージは内部で抑制されているため、ユーザーには表示されず、処理は正常に完了します。
Q10: エラーが発生した場合は?
A: エラーメッセージが表示されます。主な原因としては:
- ファイルの破損
- サポートされていない形式
- ディスク容量不足
- FFmpegが未インストール(ALACファイル処理時)
注意事項
- このツールはWAV、FLAC、ALAC形式専用です。MP3やAACなどの非可逆圧縮形式には対応していません
- サブフォルダ内のファイルは処理されません。フォルダをドロップした場合、直下のファイルのみが対象です
- 同名で拡張子が異なるファイル(例: song.flac と song.m4a)を同時に処理すると、出力ファイルが上書きされます
- ファイル名やフォルダ名に使用できない文字(\/:*?"<>|)が含まれていると、エラーが発生する可能性があります
- 処理中はウィンドウを閉じないでください
- 大量のファイルを処理する場合、十分なディスク空き容量を確保してください
- 元のファイルは削除されませんが、念のためバックアップを取ることをお勧めします
トラブルシューティング
プログラムが起動しない
- Windows 11/10(64bit)で動作しているか確認してください
- exeファイルが破損していないか確認してください
- ウイルス対策ソフトにブロックされていないか確認してください
ALACファイルが処理できない
- FFmpegがインストールされているか確認してください
- FFmpegのパスが通っているか確認してください
- pydubが正しくインストールされているか確認してください
変換されたファイルが見つからない
- 元のファイルと同じフォルダに
output_cd44フォルダが作成されているか確認してください
- 処理結果のメッセージで出力先パスを確認してください
音が正常に再生されない
- 元のファイルが正常に再生できるか確認してください
- 変換後のファイルが正しくCD規格(44.1kHz/16bit)になっているか、メディアプレーヤーで確認してください
タグ情報が表示されない
- 使用しているメディアプレーヤーがID3v2.3タグに対応しているか確認してください
- 元のファイルにタグ情報が含まれていたか確認してください
技術情報
使用ライブラリ
- soundfile: WAV/FLACファイルの読み書き
- pydub: ALACファイルの読み込み(FFmpeg経由)
- librosa: 高品質リサンプリング(32bit FLAC用フォールバック含む)
- numpy: 音声データの数値処理
- mutagen: ID3v2.3タグの読み書き
ディザリングについて
このツールでは、ビット深度を16bitを超えるものから16bitに下げる際にのみ、TPDF(Triangular Probability Density Function)三角ディザリングを使用しています。
これにより、量子化ノイズを聴感上目立ちにくいノイズに変換し、音質劣化を最小限に抑えます。
元が16bit以下のファイルには不要な処理を行わず、音質を保持します。
ID3v2.3タグについて
出力されるWAVファイルには、ID3v2.3形式のタグのみが含まれます。RIFF INFOチャンクは意図的に削除されています。
これにより、タグ形式が統一され、様々なメディアプレーヤーとの互換性が向上します。
並列処理について
このツールは、使用しているPCのCPUコア数を自動的に検出し、その半分のスレッド数で並列処理を行います。
例えば、8コアCPUの場合は4スレッドで処理されます。これにより、システムに負荷をかけすぎることなく、
効率的に複数ファイルを同時処理できます。
ライセンスと免責事項
このソフトウェアは個人使用・商用使用を問わず無料でご利用いただけます。
本ソフトウェアの使用により生じたいかなる損害についても、作者は一切の責任を負いません。
自己責任においてご使用ください。
更新履歴
- Version 1.0 (2025-12-04) - 初回リリース
- WAV、FLAC、ALAC形式に対応
- ID3v2.3タグのみ保持(RIFF INFO削除)
- 16bit超のファイルのみディザリング適用
- CPUコア数の半分で並列処理
- 高品質リサンプリング(librosa Kaiser)
© 2025 Audio to CD Format WAV Converter