概要
Media Audio Analyzerは、動画・音声ファイルのラウドネス(音量)を測定するGUIツールです。EBU R128およびITU-R BS.1770-4規格に完全準拠(EBU Tech 3341 / 3342 公式テスト全項目通過)。
v2.0.0 では、v1.0.0 の Python (tkinter) 実装から C# / .NET 10 / WPF への全面リライトを行い、計測エンジンも自前実装に置き換えました。ffmpeg をプロセス起動せず内部ライブラリを直接呼び出す方式に変更したことで、同じファイルの解析時間が従来比 2〜4倍高速になっています(4K HEVC 長尺で約3.8倍)。
動作要件
- Windows 10/11 (x64)
- .NET 10 Desktop Runtime(インストール済みでない場合は下記からダウンロード)
ffmpeg は別途インストール不要です。 計測に必要なライブラリ(avcodec / avformat / avutil / swresample)は zip に同梱されています。
.NET 10 Desktop Runtime のインストール手順
- 公式ダウンロードページを開く
- 「Run desktop apps」セクション内の Windows x64 の Installer をクリック
ファイル名:windowsdesktop-runtime-10.0.x-win-x64.exe - ダウンロードした exe を実行してインストール
注意: 「.NET Runtime」(コンソール用)や「ASP.NET Core Runtime」(Web用)では本ツールは動きません。必ず「.NET Desktop Runtime」を選んでください。
ダウンロード
- media_audio_analyzer_v2.0.0.zip (約41 MB)
測定項目
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| LUFS | Integrated Loudness(統合ラウドネス)。ファイル全体の平均的な音量レベルを表します。 |
| TP | True Peak(トゥルーピーク)。デジタル-アナログ変換後の最大ピークレベルをdBTPで表します。 |
| LRA | Loudness Range(ラウドネスレンジ)。音量の変動幅をLUで表します。 |
準拠規格
- EBU R128 - ヨーロッパ放送連合のラウドネス推奨規格
- ITU-R BS.1770-4 - 国際電気通信連合のラウドネス測定アルゴリズム規格
- EBU Tech 3341 / 3342 - 公式テストベクトル(Integrated 8項目 + True Peak 9項目 + LRA 6項目)全項目通過確認済み
対応フォーマット
動画ファイル
mp4, mkv, avi, mov, wmv, flv, webm, m4v, ts, mts, m2ts, vob, mpg, mpeg
音声ファイル
mp3, wav, flac, aac, ogg, m4a, wma, aiff, aif, opus, ac3, dts, ape, wv
機能
- ファイル・フォルダのドラッグ&ドロップ対応
- エクスプローラの右クリックメニューから直接解析(メニュー登録機能内蔵)
- 複数ファイルの一括処理(マルチスレッド対応、並列数を画面上で変更可能)
- 単一インスタンス動作 — エクスプローラで複数ファイルを選んでメニューから起動しても、1つのウィンドウにまとめて表示
- メニューバー(File / Edit / Tools / Help)とキーボードショートカット(Ctrl+O / Ctrl+S / Ctrl+Del / Esc)
- ファイル名順に自動ソート、列ヘッダクリックで再ソート可能
- 追加ドロップで結果に追記可能
- 処理のキャンセル機能
- 結果のCSVエクスポート
- 交互の行背景色で視認性向上
- 測定値の色分け表示
インストール
- zip ファイルを任意のフォルダに解凍します(例:
C:\Tools\MediaAudioAnalyzer\) - 解凍されたフォルダ内の
MediaAudioAnalyzer.exeを起動します - 右クリックメニュー登録(任意): Tools メニュー → 「Add to Context Menu」で、エクスプローラの右クリックメニューから直接解析できるようになります
アンインストール: Tools メニューから「Remove from Context Menu」でメニュー登録を解除した後、フォルダごと削除してください。
使い方

- MediaAudioAnalyzer.exe を起動します
- 測定したいファイルまたはフォルダをウィンドウにドラッグ&ドロップします(または「Select Files」ボタンで選択)
- 測定が自動的に開始され、結果が表示されます
- 必要に応じて「Export CSV」ボタンで結果を保存します
- 「Clear」ボタンで結果をクリアできます
右クリックメニュー登録後: エクスプローラで音声・動画ファイルを選択(複数選択可)→ 右クリック → 「Media Audio Analyzer」で直接解析できます。
測定値の色分け基準
| 項目 | 緑(良好) | オレンジ(注意) |
|---|---|---|
| LUFS | -24 〜 -14 LUFS | 上記範囲外 |
| TP | -1.0 dBTP 以下 | -1.0 dBTP より大きい(クリッピングの危険) |
| LRA | 判定なし(青色で表示) | |
CSVエクスポート
測定結果をCSVファイルに保存できます。保存されるCSVには以下の列が含まれます:
- File Name - ファイル名
- File Path - ファイルのフルパス
- LUFS - 統合ラウドネス値
- TP - トゥルーピーク値
- LRA - ラウドネスレンジ値
- Error - エラーメッセージ(該当する場合)
ファイル名は「audio_analysis_日時.csv」形式で自動生成されます。
配信プラットフォーム別 ラウドネス正規化基準
各配信プラットフォームは「ラウドネス正規化」という処理を行い、曲ごとの音量差をなくして快適なリスニング体験を提供しています。これは、アップロードされた音源の音量を自動的に調整し、プラットフォームが定めたターゲット値に合わせる仕組みです。
正規化の動作:
- ターゲット値より大きい曲 → 再生時に音量が下げられる
- ターゲット値より小さい曲 → 再生時に音量が上げられる(※プラットフォームにより異なる)
| プラットフォーム | ターゲット値 | 正規化の動作 |
|---|---|---|
| Spotify | -14 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げる。ユーザー設定で -19/-14/-11 選択可能 |
| Apple Music | -16 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げない(Sound Check機能) |
| YouTube | -14 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げない |
| Amazon Music | -14 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げる |
| TIDAL | -14 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げない |
| Deezer | -15 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げる |
| Pandora ※米国限定 | -14 LUFS | 大きい曲は下げる、小さい曲は上げる |
| SoundCloud | なし | 正規化なし(アップロードしたままの音量で再生) |
マスタリング時のポイント:
- -14 LUFS前後でマスタリングすると、多くのプラットフォームで調整が最小限になります
- 商業音楽では-8〜-10 LUFSで制作し、下げられることを前提にリリースするケースも多いです
- 過度に音圧を上げると、正規化で下げられた際にダイナミクス(音の強弱)が失われた印象になります
True Peak推奨値: 全プラットフォーム共通で -1.0 dBTP 以下が推奨されています。これはストリーミング配信時のエンコード(AAC/Ogg等への変換)でクリッピング(音割れ)を防ぐためです。
注意事項
- 約400ミリ秒未満の短いファイルは測定できません(「Too short」と表示されます)
- 処理中に追加でファイルをドロップすることはできません
- フォルダをドロップした場合、サブフォルダ内のファイルは対象外です
バージョン情報
- バージョン: 2.0.0
- リリース日: 2026年5月
- 同梱 ffmpeg バージョン: 7.1
v2.0.0 の主な変更点(v1.0.0 からの刷新)
v1.0.0 は Python (tkinter) で実装されていましたが、v2.0.0 で C# / .NET 10 / WPF に全面的に書き直しました。これに伴い、以下の改善を実現しています。
計測エンジン
- v1: ffmpeg.exe を子プロセスとして起動し、ebur128 フィルタの出力をパース
- v2: ffmpeg のコアライブラリ (libav) をアプリ内から直接呼び出し、ラウドネス計測アルゴリズム (ITU-R BS.1770-4) を自前実装
- 結果: 従来比 2〜4倍高速化(4K HEVC 長尺ファイルで約3.8倍)
- EBU Tech 3341 / 3342 公式テストベクトル全項目通過を確認
導入の手間
- v1: ffmpeg を別途インストールして PATH 設定が必要
- v2: ffmpeg のコアライブラリを zip に同梱、追加インストール不要(.NET 10 Desktop Runtime のみ別途必要)
UI / 操作性
- エクスプローラの右クリックメニュー登録機能を追加(Tools メニューから on/off 可能)
- 単一インスタンス動作に対応 — 複数ファイルを選んで右クリック起動しても1つのウィンドウにまとめて表示
- メニューバー(File / Edit / Tools / Help)とキーボードショートカット(Ctrl+O / Ctrl+S / Ctrl+Del / Esc)を追加
- 並列処理スレッド数を画面上で切替可能に