岸部眞明 直伝! オープンチューニング・ギター・レッスン

昨日(2010-08-21) ついにあの岸部さんのギターレッスンを受講してまいりました!! ここに来てくれている人への特別サービスとして、その時のもようを一部始終ここに纏めておくことにします。レッスン1時間分を丸ごと録音しておいたので抜かりありません(^_^)v

定刻の14時15分より若干早めにレッスン会場である(ドルフィンギターズの隣の隣のビルにある) Real music school に案内されました。着くと既に一人目の方(Hideto^^♪さん?)がレッスンルーム内で岸部さんと向き合っている様子が目に飛び込んできました。その向かいのお部屋にはMASHさんが!! ご挨拶した後しばらくの間お話させていただきました。「岸部さんのチャの極意を教えてもらってくださいねー♪」とのアドバイス。チャが入る曲、私あんまり弾けないんですけど^_^; 頑張ってみま〜す(^_^)v

一人目の方がレッスンルームから出て行かれて(Hideto^^♪さん、挨拶もできずスイマセンm(__)m )、いよいよ私の番です。ちょっと緊張してるわ、やっぱり。オー! ホンマモンの岸部さんやぁ〜♪とか思ってたら、岸部さんがポツリと一言、

確か一度桃谷のアニーに来ていただいてましたよね?

え? 私のことを覚えてくれてた? 確かに真正面の一番近いところにはいたけど…これにはビックリしました。と同時にやはり嬉しかったですね。「来月富田林の『PRIMO PIATTO』にも行きますよ〜」と伝えると笑顔で応えてくれました。そやそや、1時間しかないから早速レッスンレッスン。それと今日時間を有効に使う作戦として考えたのは、課題曲をオープンD (DADF#AD) チューニングの曲に統一するってことです。そうすればチューニングに時間を取られずに済むから。

レッスンを受けるにあたり、まずは私の普段のプレイを岸部さんに見て(聴いて)いただいて岸部さんがどう感じるのか?っていうことを聞きたかったので、最初に「November」の1クールを自分で弾いて見てもらいました。いきなり岸部さんの前で一人で弾くのですからやはり緊張しましたね^_^; いっぱいミスもしたけどとりあえず最後まで弾きました。ハイ、ここから岸部さんのレッスンが始まります。

まず右手のフォームなんですけど、人差指〜薬指が弦に対して斜めになってますよね。一番無駄がないのは指を直角にして弾くことなんです。ただ全部の指を直角にするのは無理なので、薬指が弦に対して直角になるようにして弾くのが理想的なんです。

まずいつもどおりの右手フォーム(小指をボディにつけた状態)でアルペジオを弾いた後、今度は小指をつけることなく6弦に親指、3弦に人差指、2弦に中指、1弦に薬指を置き、薬指が弦に対し直角になるようにしてアルペジオを弾きました。するとどうでしょう、音色が全然違う!! 明らかによりクリアな音だ。これだけ長いことギターを弾いているのにこんなことにも気づかなかったのかあ…。

前半がこれまでのフォーム、後半が岸部さん推奨のフォームでの演奏。明らかに音色が違うのがわかると思います。後半のほうが音がクリアで鮮明という印象です。

あと、爪っていうのは非常に重要な要素なんです。実は欧米の人で爪を伸ばしている人は少なくて指肉で弾いている人が多いです。ただ指先が硬くなっているのでクリアな音が出るんです。一方クラシックギタリストは爪に非常に神経質です。もし伸ばせるのなら指先から1mmほど見えていれば爪の音は出ます。弦を弾くと一番最後に爪が当たります。爪が当たると非常に芯のある音が出ます。爪の伸ばし方も非常に重要で、指先と同じ形にするのがポイントです。爪はあくまで指先の延長だと考えるのです。爪の裏側は真っ直ぐになっているのが理想です。巻き爪で引っかかってしまったら元も子もないので。延びた部分の爪をヤスリに乗せて平行に動かすと要らない部分を削ってくれる、そういうイメージで手入れすればいいと思います。

ふむ。1mmなら伸ばせるかなあ。

各指の爪の長さのバランスも重要です。和声、例えば親指〜薬指で4音同時に鳴らしてみて全ての音が均等な音量で出ているかどうかでチェックしてみてください。爪の長さで弾きやすくなったり弾きにくくなったりするので、このあたりは非常にシビアになったほうがいいです。

うーん、そんなこと考えたこともなかった^_^;

もうひとつ注意点は手の甲なんです。手の甲はボディの表面板に対して平行になっているのがいい形です。右手小指を表面板につけるのが何故いけないのかというと、手の甲が沈んでしまうからなんです。そうなると薬指で弦を弾く位置が奥(手のひら側)に入ってしまい動かしにくくなると同時に指先で弾きにくくなってしまいます。親指から薬指までを弦に乗せた状態、且つ薬指が弦に対し直角になっている、これがあくまで基本形なんです。手の甲(あるいは手のひら)と表面板の間に適正な空間を作ることが重要です。

ふむふむ。

それと右手親指で弦を弾く時、第一関節を曲げて音を出すというのは止めたほうがいいです。他の3本の指とは別個のものと考えてください。親指で弾く時は根っこからはじくというイメージです。それともう一つ親指での弾き方としてアポヤンドっていうのがあります。アルペジオなんかで低音弦の音圧をボン!と出したい時に使います。

親指でもアポヤンドってするんや。初めて知った^_^;

で、この右手のフォームを身につけるのは結構時間がかかると思います。練習の際はスピードは本当にゆっくりでいいので、一音一音はじいてますという意識を指先に入れるようにしてください。右手の弾き方としては、硬くするんじゃなくて柔らかく、はじく瞬間だけしっかり弾く、はじく瞬間を大事にするというイメージです。

MASHさん、画像をお借りしました〜m(__)m
写真

上の写真のように、この後私は岸部さん自身の手で右手を固定されたまま延々とアルペジオを弾かされました。フォームが良くても濁った音が出る場合は爪の削り方や形が悪い場合が多いとの指摘もいただきました。うーん、右手がしんどい。こんなスタイルで弾いたことないからなあ…でも出てくる音は確かに綺麗だ。

あと、こういう右手のフォームを身につけるには曲は練習しないほうがいいです。なぜかというと左手に気を取られるから。左手は何も押さえなくていいので、正しい右手フォームで黙々と鏡を見ながら弾くんです。鏡で映して右手だけを見るんです。

うーん、孤独な地獄のトレーニングになりそうな気がする…(ToT)

纏めると、右手フォームの注意点は、

ただ親指の第一関節を絶対曲げないのか、と言ったらそんなことはないんです。親指と人差指で同時につまんで弾くような場合は曲がらざるを得ないのでこれはかまいません。

右手フォームの改造レッスンはここまで。ただこの時点で20分経ってました(@_@;) ここからは左手運指の注意点に移ります。

「November」の6小節目
譜面画像

私、赤丸しているところは全て3弦中指、1弦薬指で押さえていたのですが…

その押さえ方は止めたほうがいいです。なぜかというとそれは不確かな押さえ方なんです。押さえ間違いやすいし悪い場所を押さえてしまいやすいです。3弦と1弦を使う6度の和声というのは指使いがだいたい決まっています。この場合は3弦が人差指、1弦が薬指です。1つ目と2つ目の和声は指の形が同じなのでそのまま移動、3つ目の和声で指を入れ替えます(3弦中指、1弦薬指)。

φ(..)メモメモ。この部分以外の左手運指については特に問題ないとのことでした。ここから先は、質問しようと思っていたところを譜面に書き込んでいたので、それらを見ながらいろいろ聞いていきました。

「November」の4〜5小節目
譜面画像

きっと誰もが苦労している部分だと思うんだけど、弾くコツとかがあるのかを聞いてみました。

ここ(4小節目の最後)には休符がついているので(低音弦は)すぐ離せばいいんです。この次(6弦5フレット)ですか? これはまあ、ちょっと(左手を)広げないとあかんのですけど…こういう物理的なことはね、あのー、練習とかするしかないです。

練習するしかないそうです^^;

「November」の22小節目
譜面画像

ここは右手の話なのですが、私が譜面の赤四角内で5〜3弦まで親指で弾いていたのに対し、

親指は5〜4弦までにして3〜1弦は人差指〜薬指で弾いたほうが絶対いいです。3弦まで親指で弾いてしまうのは右手小指をつけてしまっているから、(薬指で1弦を)弾きにくいからそうなってしまうんです。そしてこの2弦7フレット、これを中指で弾こうとすると弾きにくいはずです。中指と薬指を連続で動かすのは割と難しかったりします。一番連続で交互に動かしやすいのは人差指と中指だと思います。だからこの2弦7フレットを人差指にしてみます。そして次の1弦は中指。これが弾きやすいと思います。

なるほど、ホントだ。

※3の部分
譜面画像

2回目の展開部における速いパッセージ。※2のパッセージは人差指から始めて中指と交互でそれほど問題ないと思うが、※3はちとややこしい。というか指使いが決まらない…

考え方として大事なことは、指を統一する、ということもあるんです。あるフレーズを全て同じ指で弾くとフレーズに統一感が出ます。違う指を使うとまた別のニュアンスになります…そしてここは親指を3弦に乗っけたらいいと思います。そうすることで右手を安定させるっていうこともあるし、メロディを大きく出しやすいっていうのもあります。また強く弾いても3弦のノイズが出にくいっていう利点もあります。

…ということを踏まえると、ここの5音を弾く右手の指は

12345
人中中人人

というように弦ごとに指を統一するやり方、あるいは

12345
人中人人人

という感じでもいいかもしれません。ここは特殊なので先ほど何度もやった右手基本フォームは意識する必要はありません。安定させて音を強く出すことが重要です。

なるほど〜〜!! ここは非常にわかりやすかったし目から鱗でした。※2ももう一度自分で考えてみよ(^^)

「November」の27小節目
譜面画像

ここの6弦のベース音なんですけど、私の左手中指の離し方が悪いのか開放の音が残ってしまうことがよくあるんです。右手でミュートしたりとかしてるんですか?と聞いてみました。

このベース音(の左手)を離すタイミングやと思うんです。楽譜を書いてる本人が言うのもアレなんですけど(笑)、楽譜っていうのは音楽を100%表現してないです。ギターの楽譜って一段のことが多いでしょ? これって実はあんまり正確じゃないです。正確に書こうとするとピアノみたいに二段に書かないとあかんし…この楽譜では(6弦のベースが)二拍になってますけど、このとおり弾いてたらやっぱりノイズはどうしても出ます。ポジショニングからいって難しいです。僕はちょっと早めに離してますよね(2弦4フレットを弾くのと同時くらい)。右手でミュートは特にしてないです。楽譜を100%信用したらあかんていうことですね(笑)。この楽譜、本来ならこの部分にちょこっと休符を書いたほうがいいですね。大概はそうしてるんですけどね。これは多分見落としですね。

ここの6弦5フレットのベース音は付点四分音符+八分休符が正しい表記だそうです(^_^)v

ミュートってね、確かに非常に重要で、実際いろんなことしてます。右手でしたり左手でしたり。でも結局どうミュートせなあかんのかっていうのは、自分の耳で判断したらいいと思います。この音はなんか濁ってるとか、この音は伸ばさんほうが綺麗やなとか、楽譜を見てというよりも自分で出してる音で判断するというか…

岸部さんって目も耳も記憶力も凄くいいと思う。1回見ただけの私の演奏からこれまで書いたことをいろいろ指摘してくれたわけだし。このあたりは圧巻というしかない…続いて最近ちょこっと練習している「All together」の話に入っていきました。前半部分を私が弾いてみました。

「All together」の出だし部分
譜面画像

5弦開放を弾いた、次に6弦を弾いた、そういう場合大抵コードが変わるわけじゃないですか。ここで5弦に触れずに6弦を弾くとどうしても濁るわけです。だから6弦を押さえた指で必ず5弦に触ってミュートしてやるっていうのがとっても大事です。だからこの部分(6弦5フレット)は親指で深めに押さえてきちんと5弦に触ってやらないとあかんのです。

これ、やってるつもりやったんですけど実際はできてなかったんですなあ(ToT)

それともう一つ、チャってのがあるじゃないですか。これって実はいろいろあるんです、出し方の種類が。ただ、チャっていうのはあまり意識せんほうがいいです。

ここで突然岸部さん、「ト・キ・メ・キ」のイントロを弾いてくれました。ぬお〜!! カッチョええ!!

この曲ってね、今までのチャなんです。6弦に親指を乗っけてますよね。これってどこでチャって鳴ってるのかというと、弦がフレットに当たってるんですね。ところが「All together」とか「Convertible」っていうのはちょっとやり方が違うんですよ。「バシッ」とやると(音量が)ちょっと大きいんです。(実演しながら) こんな風に4弦に(親指を)乗っけてます。感じとしたら、爪の先端がカスってるというか。僕が親指の爪をこれだけ伸ばしてるのはその為なんですよ。(親指の爪の)先端が当たってくれてるっていう。それで出してるわけです。

私が実際に見た感じを元に付け加えると、4弦に右手親指を近づけていって爪が乗った瞬間に「キリッ」とか「シュワッ」ってこすれて鳴ってるイメージ。決して弦を叩いたり強く当てたりはしていませんでした。このあたりは非常に微妙な感覚ですねー。

(またまた実演しながら)本当に軽い感じです。「ベシッ!」ってやるとちょっと重たくなるわけですよ。(私が真似していると)あー、それは違うチャです(笑)。でもこれは難しいですよ。爪の長さもあるし…(更に実演しながら)でもあんまり考えんほうがいいですよ。それらしい感じで出てたら、それはそれでいいと思いますよ。

ここで岸部さんはちょっと長めに実演してくれました。その素晴らしい技をご堪能ください。

正真正銘、ホンマモンの岸部さんによる生の「All together」です。ニュータイプの「チャ」が満載!! カッチョいい!!

同じく「All together」の出だし部分
譜面画像

青で囲った部分なんですが、私的にはここがどうしても右手人差指の連続弾きになってしまい、本当にこれでいいのかなあ?と大いに疑問でした。

全然かまいません。覚えておいたらいいのは、同じ弦を同じ指で3回以上弾くとどうしてもモタってしまいます。2回までくらいやったらまだ大丈夫です。同じ指で連続して弾くと当たった瞬間ミュートしてから弾くような感じになるので、速めの曲で3〜4回続けて弾くと詰まったような感じになります。そういう場合は2つの指で交互に弾いたほうがスムースになります。

ここで最後に「Dandelion」に移りました。1クールまず自分で弾いて見てもらいました。

「Dandelion」の3小節目(ここでは37〜38小節目)
譜面画像

オープンDで(ベース音に)5弦の2フレットを押さえたコードっていうのがよく出てくるんですけど、この場合は人差指じゃなくて中指で押さえるように癖づけたほうがいいです。人差指を5弦(2フレット)にもってくると、2フレット以上の部分でしか(他の指の)応用が効かないし、次に移動する時の左手の動きが(他の指も含めて)どうしても大きくなってしまうことが多いからです。絶対人差指が駄目だとは言いませんけど、もし僕がパッと5弦2フレットを押さえるとしたら人差指は使わない。人差指を低音弦側にもってくることはしないです。

うーん、そう言われてみれば確かにそうだ。中指を使うほうが移動がスムースだ…そんなことまで考えてるんやな。

あとちょっと気になったのは、ハンマリング・オンとかプリング・オフはできるだけ譜面どおり忠実にやったほうがいいです。実音とはやはり(ニュアンスが)ちょっと違うんですよ。先ほどの「November」でもあったんですけど…

「November」の20小節目
譜面画像

う、確かに。私、ここはずっと実音で弾いてました。TABばっかり見て五線譜見てないからだなこれは^_^; というか、どうしてもう終わった「November」のことまで覚えていてここで思い出せるんだろう? 凄いな。「Dandelion」では以下の部分のプリングオフを見落としてました。

「Dandelion」の20小節目
譜面画像

ハンマリングやプリングを使うことで「なめらかさ」っていうのを出してまして、曲の雰囲気も少し変わりますし、そのあたりは結構シビアにチェックしてみてください。

わかりました^_^; ここでちょうど時間となりました〜〜(ToT)

右手だけはね、今日言うたことを思い出して直しはったら更に良くなると思いますよ。頑張ってください。

岸部さん、1時間のレッスン本当にありがとうございました。この貴重な経験を生かし、自分のギタープレイを今一度見つめなおしたいと思います。さあ、練習だ〜(^_^)/


初稿
令和元年8月10日
ナビゲーション
岸部眞明 The 直伝 プレミアム マンツーマンレッスン (2013-08-24)
noriya.info